──それでは、お名前をどうぞ。
くろすけです。よろしくー。
──何を描いていらっしゃる方ですか?
まんがニートぷげらで「お姉ちゃんは過保護!(以下、おねかほ)」を連載してます。自立したい妹と過保護なお姉ちゃんの日常をゆるーく描いた4コマ漫画です。おねかほっていう素敵な略称は本スレでいただきました。
──なぜその話を描こうと思ったんですか?
姉妹百合が好きだからです。人の好きって気持ちを見聞きするのが好きなんですよ。幸せが伝わってくる感じがして癒されるんです。で、姉妹で百合だと、性別に血縁に…ほら、色々壁があるじゃないですか。そういうのを全部飛び越えて相手のことが大好きって素敵なことだと思うんですよね。あと共感しやすい。
──共感?
うちも妹じゃないけど、弟がいるので。もちろん家族として好きなだけで、作中の姉みたいに結婚とか、養いたいとかは思いませんけどね。
──(笑)
あ、引きやがったなこの野郎。(笑)ただ最近、弟は実家を出ちゃったので寂しいですね。おねかほ1話で玲音ちゃんが言った「いつまでも一緒にいられるわけじゃないんだし…」が身に沁みます。
──実感のこもったセリフだったんですね。
いや、そうでもないんですよ。弟が実家を出たのはあの話を書いた後なので・・・。けど、もし今同じシーンを描いたら、違う描き方をするかもしれません。まあ、描き直す気はありませんけどね。黒歴史は受け止めていくスタイルなので。
──潔いですね。(笑)漫画を描き始めたのはいつ頃からなんでしょうか?
おねかほは14年からですね。初めて漫画を描いたのは、確か小学3年生のときかな。まだコマ割がよくわかってなくて、4コマを繰り返す形で描いてました。普通のコマ割で初めて描いたのは中学1年生のときですね。でもそれっきり全然描いてなくて。元々創作意欲が漫画より一枚絵に向く方だったので…ちゃんと漫画を描こうと思ったのは割と最近になってからですね。
──何かきっかけがあったんでしょうか?
多分、描きたいものが出来たからです。たくさん漫画を読んでる内に、自分が何が好きなのかだんだんわかるようになってきたんです。そうしたら、僕も見ていて嬉しくなるような仲良しさんを描きたいと思うようになりまして。
──おねかほの二人も仲良し姉妹ですもんね。この二人はどのように作られたんでしょうか?
昔よく描いていたキャラを4コマ向けにリファインしました。二人とも、漫画を描く前からよく描いていたキャラなんです。といっても、ラクガキぐらいでしか形にしていなかったので、キャラはそんなに固まっていなくて。僕のイメージでは、玲音ちゃんってもっと無口で暗くて、姉ももっと普通だったんですけど、いざ動かしてみたら自然と今みたいな感じになってましたね。そういえば、玲音ちゃんの名前が横文字っぽいのはそのときの名残なんですよ。舞台設定もこれといって決めてなかったので。
──二人とは長い付き合いだったんですね。先生が絵を描き始められたのはいつ頃からなんでしょうか?
覚えてないです。(笑)物心つく頃にはもう描いていたので。姉妹との付き合いは15年弱かな。さすがに当時の原型はほぼないですけど。百合にハマる前だったから姉は兄だったし。
──衝撃の事実です。(笑)百合にハマるきっかけがあったんでしょうか?
多分「やまとなでしこの部屋へようこそ」から…まさかのナマモノ。(笑)僕が知った頃はもうユニットも休止直前だったんですけどね。漫画だと袴田めら先生の「最後の制服」が最初だったかな?今でも好きな漫画です。
──他にも影響受けたな、って作品などありますか?
絵柄は、種村有菜先生の影響が大きそうです。多分だけど。詳しくは、創作ルーツアンソロジー(ID:19232)でも答えたので良かったらそちらもご覧ください。そして、まだ描いてない人には参加してもらえると嬉しいです。人のルーツを見るのは楽しいので。企画してくださったコシャルディ先生には感謝しております。
──先生の絵柄も少女漫画風ですもんね。やはりそれっぽさを意識されているのでしょうか?
実は少女漫画らしさはあんまり意識してないんです。割と最近まで、自分の絵柄ってなんだろう?とか色々考えて、色んな絵柄を真似してたんですけど、結局誰かの劣化コピーになっているのに嫌気がさして。それから、余計な考えは捨てて自分の中でかわいいって思うものを詰め込んだら、今の絵柄に落ち着いてました。でも、あのとき試行錯誤したからこそ今があるので、人の真似をしていた時期も無駄じゃなかったと思ってます。
──絵柄の変遷に伴って、姉妹のキャラデザも変わっていったのでしょうか?また、二人を描く上で気をつけている点などありますか?
デザインは、姉が兄だった最初期を除けばそんなに変わってないですね。でも、そんなに特徴的なキャラデザでもないので、絵柄の影響がモロに出て結構雰囲気も違ってみえたと思います。描く上で気をつけていることといえば、顔のパーツじゃなくて、表情で描き分けるようにしてることですね。玲音ちゃんは、すまし顔だけど表情豊かで崩れやすい。姉はニコニコしていて、表情は崩れにくい…って感じで。顔が似てるのって実姉妹ならではの萌えポイントだと思うので、なるべく似せてます。だ、だから描き分けできないわけじゃないんだぞ!
──姉妹萌えならではのこだわりですね。他にも何かこだわられていることはありますか?
やりすぎないことかな?姉の言動をエスカレートさせすぎない、玲音ちゃんにもキツすぎることは言わせない。なんだかんだ言っても二人とも、お互いを大事に想っているので、真剣に傷つきそうなことは言いませんし、やりません。このラインを守ることが、仲が良さそうに見えるポイントだと思ってます。あとは作画ですね。描き込みすぎないように気をつけてます。僕はつい瞳や髪を描き込みすぎちゃうんですけど、新都社に投稿するときは画像サイズを25%縮小してるので、せっかく細かく描いても潰れちゃうんです。そうしたら、ただ見辛くなっちゃうだけなので…。
──見易さには細心の注意を払われているそうですね。他にも何か意識されているんでしょうか?
意識してるのは、モノクロ(2値)で描く、トーンを貼りすぎない、キャラと背景のペンサイズを変える、キャラのシルエットを軽く縁どる、同じ距離のカットを連発しない、想定線を1コマで跨がない…ことぐらいですかね。注意してるとはいっても、基本はパッと見の感覚を頼りに描いてます。あ、あとベタを入れると画面が締まって見えるので、髪が白い玲音ちゃんには、なるべく黒寄りの服を着てもらってます。
──想定線とは?
会話してるキャラ同士の間を結んだラインのことです。イマジネーションラインとも言うらしいです。映画とか映像系の用語なのかな?詳しくは僕なんかよりグーグル先生に聞いてください。4コマでこれを跨ぐためにわざわざ1コマ消費するのは勿体無いので、なるべく跨がずに済む人物配置を最初からある程度考えておきます。
──そういえば、どうしてこの題材を4コマ漫画で描こうと思ったのでしょうか?
それは4コマが好きだからです。4コマって、気軽に読めて伝えたいことをパッと伝えられて、ショートストーリーとかキャラクターを魅せるには、もってこいの形式だと思うんです。おねかほは気軽に読めて、仲良しの姉妹をみて、ちょっとだけ日頃の疲れを癒せるような漫画にしたいので、この形が最適かなぁ、と。
──おねかほには、そんな想いがこめられていたのですね。
一番伝えたいことは、姉妹百合って良いよね!ってことですけどね。(笑)僕の漫画を読んでくれた人が姉妹百合の良さに目覚めて、その人がまた姉妹百合漫画を描いてくれて・・・っていう連鎖ができるのが理想ですね。
──最後にご自身の更新速度について一言お願いします。
すまぬ・・・すまぬ・・・。