Neetel Inside 文芸新都
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要するに短い話なんだよ
運動会なんだよ!! ゴッホちゃん!

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「運動会なんだよ!! ゴッホちゃん!」



「今日は待ちに待った運動会! 頑張っちゃうぞー!」
 そんなことを言いながら歩道のアスファルトをボコボコにしつつ登校している我らがメシアである向日葵ゴッホちゃん今日もいい感じに通行人をターミネートしています。
「やっほー、ゴッホちゃーん」
 と、不意に背後から腹式呼吸波動砲が放たれる。
「ペロ……これはデジャブ!」
 私は永遠にこの夏を繰り返しているのだわあぅあぅとゴッホちゃんはデジャブいわゆる既視感を覚える体を180度回転させて遥か前方を見ればまさしくそこには今まさに飛び立たんとしているパキケファロさち子ちゃんだァー!!
「そう何度も同じ手を食らうと思うなよ石頭竜。既に見切ったわ」
「ばっ、バカな! 受け止めた……だと……?」
 空気やら何やらでも摩擦は起きるとかで赤熱していたパキケファロさち子ちゃんの頭部を難なく受け止めるゴッホちゃん辺りに香ばしい匂いが立ち込めるがゴッホちゃんは余裕の表情でパキケファロさち子ちゃんを10mほど突き放す。
「おはよう、パキケファロさち子ちゃん! 今日は運動会だねっ」
「そうだねー。あたしったらいっつもハードル走の時、ハードルを壊しちゃうから苦手なんだよなー」
「あっ、それわかるかもー」
 今日もいつも通り住宅地の風景を壮絶且つ凄惨なものにして登校しました。



「ねえねえ聞いてよゴッホちゃん。この学校ったら世間の厳しい目に逆らってでもブルマを廃止してないのに男子には履かせてくれないんだよ」
「ブリーフで我慢すればいいじゃない、BL太郎君」
 朝の教室いつもの教室もちろん教室そこでBL太郎君とゴッホちゃんが和気藹々と談笑していた。
「なんでそんなひどいこと言うのさ。ゴッホちゃんには人の血が流れてないの?」
「うん」
「即答しないでよゴッホちゃん……」
 あまりの常識外れな言動にBL太郎君は冷や汗を流す人の血が流れていなければ何の血が流れているのかそもそもゴッホちゃんは人間なのか人間じゃないとしたらその解答は確かに正しいのだろうけど何かが間違っていると夜も眠れなくなるBL太郎君の話はまた別のお話。
「で、BL太郎君はいつまでこの教室にいるつもりなの? もう女子達は着替え始めてるんだけど」
「僕は女の子に興味はありません。だからここにいてもいいはずだよ」



 時は流れて運動会です宣誓やら開会式やらを終えて一つ目の種目はなんといきなりほとばしる肉と肉スプラッシュする汗と汗黄色い悲鳴飛び交う女子綱引きだー!
「それで、なんでBL太郎君はブルマを履いて私達と一緒に綱を握っているのかな」
「つれないこと言わないでよゴッホちゃん。お母さんが短パンじゃなくてブルマを僕に持たせたんだよ。男子の中で一人だけ僕だけがブルマを履いているよりも、数多のブルマが連なる女子の集団の中に一人だけ僕が混ざっている、この方が遠目に見ても違和感が無いと思ったんだ」
 いたって真面目にそう答えたBL太郎君はこれまた真面目な顔をして綱を握り締める。
「ああ、バカだと言いたければ言えばいいさ。でもね、僕は止めないよ。リンゴを落とせば地面に落ちるように、僕がここに居ることもまた必然なのだから」
「うんわかった」
 普通に綱引きが始まりました。



「さァー、白組ピンチ! 点差50と、中々に厳しい状況だ! この窮地をどう乗り越える!!」
 仮設テントの下で熱く暑く実況がまくしたてるは今現在の展開である点数差ちなみにゴッホちゃんは調子付いている赤組ではなく負け街道まっしぐらな白組なのだ。
(まずい……このままじゃ、負ける)

     


     

 ゴッホちゃんは非常に悩んでいたそれはもう何年も電気ネズミを盗れずにいるペイロードと推進剤と酸化剤とポンプと燃焼室とノズルから成る団が如く悩んでいた。
「ね、ねえ、ゴッホちゃんどうしよう。パキケファロさち子ちゃんは赤組だし、このままじゃ僕達負けちゃうよ」
「そうね。このままじゃ負けちゃうよね。……この手だけは、使いたくなかったのに」
「え? 何をするの?」
 ゴッホちゃんが見つめる先はただいま絶賛負け戦中の100mリレーもちろん白組は負けていて赤組にほいほいと抜かされ続けている。
 カチャりとゴッホちゃんの手元で金属音が鳴った。
 

 パーン

     


     

 パーン

「ギャアアアアアアア」
「うわあああああ」
 広がるグラウンドはほとばしる肉片と肉片スプラッシュする血飛沫と血飛沫黄色い悲鳴飛び交うトラックまさに戦場と化しているゴッホちゃんの手には黒光りするべレッタM92FSが握られていた。
「ご、ゴッホちゃん! なにしてるの!」
「BL太郎君は勝ちたくないのッ!?」
「そ、そりゃ、勝ちたいけど……だからって……」
 ゴッホちゃんの凄みにたじたじなBL太郎君はブルマを握り締めながら阿鼻叫喚としているグラウンドを見つめ続けるそうして長くもあり短くもある時間が過ぎ去った頃に慌てた様子の警察官が走ってきたと思えばゴッホちゃんの目の前で立ち止まった。
「君ッ! すぐに手に持った凶器をこちらに明け渡しなさい!」
「わかった」
「……クソッ、どうしてこんなことを!」
 仕事熱心で職場でもある程度の地位に立っていて家では美人の奥さんが待っている警察官がゴッホちゃんを問いただすガクガクと揺さぶられたゴッホちゃんはBL太郎君を指しながら口を開いた。
「そこで立ってるホモで女装癖を持っていて18歳未満なのにエロゲーをやってる子に“撃てさもなくば犯す”って脅されたんです」
「ちょ、ちょっと待ってよゴッホちゃん! 確かに僕はホモで女装癖を持っていて18歳未満なのにエロゲーをやってるけどそんなことを言った覚えはないよ!」
 普通にBL太郎君は連れて行かれました。



「ふー、今日は楽しかったね、ゴッホちゃん!」
「白組が勝ったしね。……あ、でもパキケファロさち子ちゃんには悪いことしたなぁ」
 夕陽がアスファルトを照らす頃パキケファロさち子ちゃんとゴッホちゃんは仲睦まじく一緒に下校していたBL太郎君はまだ拘留所です。
「確かにゴッホちゃんがべレッタM92FSを持ち出した時はビックリしたけど、BL太郎君が居たおかげで助かったね!」
「うん! BL太郎君には感謝しないとね!」
 爽やかな笑いを辺りに振り撒きながら二人は普通に下校しました。

       

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