彼女はフェラチオの天才だ。
彼女以上に射精欲求に対して適切に──変幻自在に──
あご疲れを起こさずフィニッシュまで導いてくれるものはない。
◆形について
形そのものがフェラチオ向きである。
彼女はフェラチオするために生まれてきた。
分厚い唇に広い舌。
粘稠な唾液をたたえつつも、
きめ細やかな舌苔のテクスチャを裏筋に感じさせる。
両側から包む頬粘膜はザラザラとして、
うすいヒダがあって、ツブツブすらある。
◆技術について
テクノロジーと呼んでもいい、
平滑筋の協調的収縮運動機構(特許出願中)。
寝かされてMRIにかけられるのと同じように、
脈打つ唇にニュルニュルとチンポが飲まれていく。
膨らみと縮み、拡がりと窄み。適切な快楽、適切な抑圧。
上唇が執拗にカリを苛めぬき、
無邪気な舌が裏筋を撫で回す。
挿入されたチンポはUSB認識され、射精誘導ソフトが実行される。
AIに大量のチンポを咥えさせたベンチャー企業の成長の果実だ。
***
「貴方は一生そのフェラチオマシーンと遊んでるといいわ」
去り際の彼女のセリフを反芻している。ここ何週間かの、間違い探しの答えが見つかった。
人は、"僕のおちんちんが女の人に食べられちゃってる"という事実に興奮するんだね。
機械なんか使っても、機械を使っている自分に気付かされるだけだったよ。
フェラチオなんか女性にはなんの得もないだろう。
フェラチオのために整形する女性もいないだろう。
それなのにフェラチオ頑張ってくれた女を、僕は失ってしまった。