Neetel Inside 文芸新都
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【18禁】ペニスギター
我が家のペニス

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 実生活にちんちんネタが入り込んできた話。

 本を読んでいる最中に吹き出してしまった。
「急にどうしたの?」と妻が聞いてきたので説明する。アフリカにバッタの研究に行っていた著者が、日本で本を出し、書店でイベントを開催した。久しぶりに戻った日本でトークをしている最中に、日本語がうまく喋れなくなっていることに気付く。簡単なひらがなすら書き間違えてしまう。「え」を「ん」と書き間違えてしまった。それも「ちえこ」という読者に向けてサインを書いている時だったため、大惨事になってしまった、というところだった。つまり「ちえこ」が「ちんこ」になってしまったのだ。

前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%90%E3%83%83%E3%82%BF%E3%82%92%E5%80%92%E3%81%97%E3%81%AB%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%B8-%E5%85%89%E6%96%87%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%89%8D%E9%87%8E%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%89%E6%B5%A9%E5%A4%AA%E9%83%8E/dp/4334039898

 妻に向けてちんこちんこと説明していると妻も意味が分かって笑ってくれた。彼女は一度ツボにはまるとなかなか抜け出せない。私と娘はそれを分かっていながら、わざと笑わせ続けることがある。

 同じ日に別のちんちんエピソードがあった。家族は私が毎日ちんちん小説を書いていることは知らない。
 息子が見ていた動画から聞こえてきた音声で、妻がツボにハマったやつがある。「森のくまさん」の替え歌である。「花咲く森の道」を「花咲くもっこりちんちんぶらぶらちんちんきんたまどっこいしょ」と歌っている。そこが流れるたびに妻が笑っていた。

 昨日も娘は何気なくきんたまどっこいしょと歌っていた。うちの娘は日頃からよく歌う。風呂場の中では延々とショータイムをしている。それを聞いた妻が笑ったので、娘と私はここだとばかりに、更に妻を笑わせようとする。
「時々ジュースを冷蔵庫じゃなくて食器棚に片付けようとするよね」
「探し物を目の前で掲げながら『これどこ?』と聞いてきたことあったけど」
 と、今とは関係のない、妻が笑ったエピソードを話し始める。妻の顔が紅潮してくる。
「ねえ私を殺す気?」
「いや、少しでも笑顔になってもらいたくて」

 前日、喉の痛みからくる咳が私の持病に響き激しい頭痛となり、丸一日、半分隔離状態で安静にしていた。知識欲旺盛になってきた息子が時々マスクで口を抑えながら入ってきて「〇〇ってどういう意味?」と聞いてきた。私はなるべく頭を動かさずに息子の質問に答えた。その間、ちんちんぶらぶらネタを妻に浴びせている時のような、家族の笑い声は聞こえてこなかった。娘の風呂場での熱唱は、いくつかドアを隔てていても、がんがんに響いてきた。ちんちんぶらぶらソングも歌っていた。

       

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