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「ライカは生きている」作:匿名 0307 20:00

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 死んでも帰りたい、と言われたのがきっかけだった。

 僕とミカは、その日のうちに設計図を完成させた。
 設計はとても難しかったけど、辺りにある残骸を参考にしたらなんとかなった。エンジンの取り付けはミカがやってくれた。「どこでそんなものを学んだの」と聞くと、「お父さんがいつもやってたから」と答えた。
 外装はどうしようか考える。どうもしのびないので、僕はそれを丈夫な鋼鉄で包んでみたけど、ミカは可愛くないからと白い塗装を施した。ついでに腕なんか生やしていた。なるほど、ミカらしかったけど、僕はあまり好きじゃなかった。ミカは「彼は雪だるまになるのが夢だったの」と言った。

 朝がぼやける。
 僕らは作り上げたロケットに点火する。ロケットはごうごうと鳴きながら飛び出していって、ずうっと、遠い彼方の空へと消えていった。あれが一体どこへ向かうのか、誰が見つけてくれるのか、僕にはわからない。それでも僕らは打ち上げ続ける。誰もいない空に向かって、水平線の続く世界から、小さな希望を放ち続ける。

 死んでも帰りたいと言われたのが、僕らの計画の始まりだった。
 メーデーメーデー。僕らはここにいます。
 もう、帰ることはないと思います。
 だからせめて、還し続けます。
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